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グリード業界コラム2【空きテナントを活用したコインランドリー出店について】

こんにちは、グリード管理課通信です!

賃貸市場やトレンドをテーマに、今回は近年増加している空きテナントを活用したコインランドリー出店についてご紹介します。

>>コインランドリー出店増加でオーナーが知っておきたい裁判例

布団やスニーカーなどを手軽に洗える利便性や、共働き世帯の家事負担軽減ニーズを背景に、貸室の新たな活用先として注目されています。しかしその一方で、騒音・排気などにまつわるトラブルも少なくありません。

今回は、そうした背景のなかで争われた裁判例(東京地裁令和4年3月31日判決/RETIO No.129)をご紹介します。

◾︎紛争事案の概要

 オーナーXは、自身が所有する2階建て建物の1階部分を、コインランドリー営業目的で借主Yに賃貸しました。契約では「賃借人が現状を変更しようとする時は、その内容、方法につき書面をあらかじめ賃貸人に提出し、書面による承諾を得る」とされていました。

 ところが、借主と機器の設置及び運営を委託された業者Bは、貸主に無断でレイアウトを替えて外壁に排気口を開けて工事を実施。営業開始後、2階に住む住人Cからは、「機器の振動や排気口からの熱気、綿ゴミで生活に支障が出ている」との苦情が頻発しました。

 貸主Xや住人Cから繰り返し改善要請があったものの、Y側の対応は限定的。機器の回転数を下げる、深夜営業をやめる、排気口付近を清掃する、といった措置にとどまり、根本的な改善は見送られたままでした。

 

裁判所は、以下の点を踏まえて、貸主による契約解除および違約金請求(賃料6ヶ月相当)を認容しました。

  • 排気口の設置工事について事前承諾を得ておらず、契約条項に違反していた
  • 近隣住人からの騒音・振動・排気などの苦情が継続していたにもかかわらず、十分な対応がなされなかった
  • 7か月以上にわたって実効的な改善が見られず、信頼関係はすでに破壊されていた

◾︎契約時の注意点と実務上の教訓

コインランドリーなど、設備騒音や排気を伴う業種に貸す場合には、契約時の段階で以下のような点を明確にしておくことが重要です。

  • その営業に伴い隣接住民などへ騒音等の被害を生ずることがないよう十分に検討
  • 改装工事や設備設置に関しては、必ず書面による事前承諾を得る旨を契約書で明記すること
  • 騒音や振動など近隣トラブルが発生した場合の対応義務を契約上に定めておくこと
  • 借主が機器の運営を外部業者に委託する場合でも、最終的な責任は借主にあることを明確にしておくこと(当然のことではありますが、条項で明示する。)
  • 契約締結時の図面や現況は記録として残しておくこと

 

■まとめ

コインランドリーのように出店ニーズが高い業種でも、その業態特有のリスクには十分に備える必要があります。無断工事や苦情対応の放置が続けば、賃料の滞納がなくても「信頼関係の破壊」により契約解除が認められるケースがあることを、オーナーとして認識しておくべきです。

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