利回りとともにもうひとつ大事な指標が「キャッシュフロー(略称CF)」です。
ビジネス用語であるキャッシュフローは、企業経営において重視される指標で、収入から支出を差し引いて手元に残るお金の流れを意味します。
中小企業に多いケースとして、売上が上がっても入金なしで一時的に支出が増えるとキャッシュフローはマイナスに陥り、″黒字倒産″ということになりかねません。
これと同様に、不動産投資=賃貸経営でも、キャッシュフローが出るかどうかが非常に重要になります。
不動産投資の世界でいうキャッシュフローは、家賃収入から経費と銀行へのローン返済を差し引いて手元に残るお金の流れを指します。
満室時に想定できるキャッシュフローを計算式で表すと次の通りです。
満室時の家賃収入-運営コスト―銀行ローン返済額=キャッシュフロー
運営コストには共用部の水道光熱費や清掃費用をはじめ、固定資産税、都市計画税、管理費および修繕費、エレベーターなどのメンテナンス料などが該当します。
本来は、ここから税金(所得税など)を差し引き、最終的に手元に残る税引き後のキャッシュフローを導き出しますが、適用される税率が人によって異なるため、不動産投資では税引き前のキャッシュフローを扱うケースが一般的です。
キャッシュフローが多く出て、手元に残る現金が多いのは優良物件といえます。
逆にキャッシュフローがわずかしか出ず、手元に現金が残らないのはハズレ物件といえます。
ですから、キャッシュフローは賃貸経営の要であり、生命線となるのです。
また、キャッシュフローは投資のスピードや資産の拡大に関係してきます。
キャッシュフローが良好であるほど、投資スピードは加速し、資産拡大に拍車がかかっていくのです。
たとえば、キャッシュフローが年100万円の物件に投資したら、5年で500万円の資金を作れます。
(税額は決算ごとに変動するため、ここでは一旦除外)
同時に賃貸経営の収支は良くなり、銀行の評価も上がります。
すると500万円を次の物件購入の頭金にあてられたり、銀行の融資を引き出しやすくなるのです。
この要領で次の物件、次の物件と投資スピードは上がっていき、資産を増やしていくことができます。
仮に、キャッシュフローが年50万円の物件に投資したらどうなっていたでしょうか。
作れる資金は5年で250万円と半分。収支に対する銀行の評価も半分。
投資スピードや資産拡大の歩みは明らかに鈍化するでしょう。
キャッシュフローの数値は物件選択の際、業者がシミュレーションをして提示してきます。
数字を見て、賃貸経営がうまく回るかどうかを判断してください。
ただし、業者によっては甘い見積もりをしているところもあります。
見積もりにある数字を鵜呑みにせず、内容を精査して、できれば自分でキャッシュフローを計算してみることも大切です。