人口増加の背景には、福岡という都市の住みやすさが関係しているのだと思います。
要因のひとつが、「コンパクトシティ」と呼ばれる都市の在り方です。
コンパクトシティとは、住宅、オフィス、商業、行政、病院など、生活に必要な機能を都市の中心部に集めた街づくりを指します。
文字通り、コンパクトなシティとすることで、そこに住む人々は効率的な暮らしを実現できるのです。
福岡市は博多、天神付近を中心にコンパクトシティ化が進んでいます。それによって職住接近が叶い、通勤の時間は短くなります。
書籍『福岡はすごい』(牧野洋著、イースト・プレス)に、福岡と他の三大都市圏の通勤・通学時間を比較した興味深いデータが紹介されていました。
総務省の「社会生活基本調査(2016年)」をもとに福岡市が計算したところ、福岡・北九州大都市圏の通勤・通学時間(平日片道換算)は38分。対して関東大都市圏の51分、近畿大都市圏の43分、中京大都市圏の40分であり、これらの都市を下回るとされています。
日本の大都市圏の中で、福岡はもっとも通勤・通学に費やす時間が短くてすむわけです。
都心部から空港が近いことも利便性を高めています。
国内線はもとより、アジアの主要都市に直行便が飛ぶ国際空港である福岡空港へは、博多駅から地下鉄でわずか5分程度です。国内・海外への出張や旅行に行く際には非常に便利です。
加えて、福岡市は町がコンパクトにまとまっている一方、車で1時間ほど走れば自然あふれる海や山にアクセスできます。都会と田舎が共存している感があるのです。
物価の安さも住みやすさに大きく寄与しています。
衣食住などを総合した都市別の消費者物価地域差指数(総務省調査。2019年)において、福岡市は都道府県庁所在市と政令指定都市をあわせた52都市の中で、7番目に低い物価水準となっています。
中でも、食料物価の安さは群を抜き、同指数で福岡市は全国ナンバー1の水準になっています(52都市の平均を100とした指数を基準とし、福岡市は95.2)。
食についていえば、安いだけではありません。安くて美味しいのです。
海や山が近いため、新鮮な食材がリーズナブルな価格で提供されています。
福岡にはうまいものがたくさんあるのは、多くの人がすでに知っているはずです。